歯の寿命を伸ばす「8020運動」の取り組みと重要性

歯科でよく言われている「健康な歯を大事にしよう」という言葉は、食べ物をおいしく食べられるようにするためだけの言葉ではありません。

自分の歯を大事にし、健康な歯を保つことは他にもたくさんのメリットがあります。例えばよく噛めることで胃腸の負担が少なくなる、脳の活性化に繋がり認知症の予防になる、唾液の分泌がよくなり免疫力が高まるなど、全身の健康にも役立ちます。また、よく噛むことでダイエット効果などもあります。

しかし、普段からなにげなく使っている自分の歯は、大切にしなければすぐに虫歯や歯周病に侵されてしまいます。年を重ねるほどにこまめなケアが効果を発揮します。

ここでは、多くの歯科医が推奨している「8020（ハチマルニイマル）運動」について詳しく解説します。8020運動とはどのような取り組みなのか、内容を押さえて健康な歯の維持管理を始めましょう。

8020運動とは

厚生労働省の定義では、8020運動は「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」というスローガンの元に行う運動を指します。かつては「一生自分の歯で食べる」という目標が掲げられていましたが、定義が曖昧なため具体的な年齢や歯の本数が提示されました。

年齢を80歳と定めたのは、スローガンが提唱された当時の日本人の平均寿命（平成元年）の男性75.9歳、女性81.8歳の平均値をベースとしています。また、大まかな意味で長生きとされる人の年齢も示すことができるため、長く健康に生きて、口の中の健康も維持していこうという意味にも捉えられます。

ただし2022年現在では、平均寿命が男女ともに80歳を超えており、80歳が寿命の目安ではなくなりました。そのため、人生の終わりではなく「80歳を区切りとして、より健康的に高齢期を過ごすための運動」へと意味合いが変わっています。

歯の本数を20本と定めたのは、自分の歯で食べるために必要となる歯の本数に由来します。歯の本数と咀嚼能力を調査した「平成28年歯科疾患実態調査」によれば、およそ20本以上歯が残っていれば、ほぼ満足に硬いものが噛めるという結果が明らかとなっています。

歯がなくなる原因

歯がなくなる原因は、1位に「歯周病」2位が「虫歯」となっています。虫歯は子どもから大人まで誰もがかかりやすいトラブルであり、再発も多い疾患ですが、１歯に繰り返す虫歯に対して3回程度の治療で抜歯に至るともいわれています。

歯周病は歯そのものに影響はありませんが、歯を支える骨が溶けてなくなり歯をぐらつかせて土台から崩れてしまう原因となります。虫歯と同様に注意が必要であり、歯周病を放置していると感染が拡がりどんどん悪化していきます。

虫歯や歯周病は口の中にひそむ菌によって引き起こされますが、日々のデンタルケア（歯磨き等のホームケアと歯医者での専門的なクリーニング）で防ぐことが可能です。歯並びが悪くデンタルケアが不十分になってしまう場合は、歯並びを整えることで歯ブラシやフロスが届きやすくなり、口の中の汚れがしっかりと取り除けるため清潔な環境を維持できます。

8020達成者の共通点

8020運動を達成した人の割合を調査したところ、運動開始から間もないころは10人に1人も満たない10％以下だったのが、2005年には21.1％へ上昇し、2017年にはなんと51.2％もの達成率となりました。

8020運動が開始された当時と50％を達成した現在 の状況を比較すると、「歯を磨く回数が1日に3回以上の人が倍以上に増加」「フロスや歯間ブラシ等の補助清掃器具を使用する人が増加」「定期的に歯医者を受診する人が増加」しており、自身の歯への意識の向上による日々のデンタルケアがもっとも達成率に影響を与えたといえます。自宅でも歯ブラシのほかに、自分の歯と歯茎に合ったアイテムを取り入れることも効果的です。

噛み合わせが気になる場合は早めに歯医者さんに相談してみることで、虫歯や歯周病のリスクを抑えることも可能です。

自分の歯を末長く維持する

いかがでしたか？虫歯や歯周病などで抜歯してしまい天然の歯を失うと、その歯ではもう二度と天然の歯と全く同じようにはものを自然に噛むことができませんが、歯周病や虫歯の予防をしたり、できてしまった虫歯でも治療回数を最小限に抑えられれば、歯がなくなるリスクを未然に防ぐことができます。

ノア歯科クリニックでは、全身の健康と歯の関係性を熟知した医師が、一人ひとりの患者さんに丁寧に診察治療を行っています。ぜひこの機会にお悩みをご相談ください。

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